人間の生命は、大宇宙という「全体」の生命と同一です。そして宇宙生命から「個」としての役割を与えられて、この現実世界に生きているのが、私たち人間です。
人間には様々な欲望や執着があります。そして個人の考えに捉われたり、自分と他者と比べて見ることで、幸不幸を感じます。私たちが悩んだり苦しんだりするのは、このように「個」に捉われていることにほとんどの原因があります。
そこで、多くの思想は、個の弱い部分を捨てて「全体」である大いなる存在に近づくことで幸せを得る事を説いています。これは昔からある宗教などにもこの傾向があり、近年流行りのスピリチュアル思想でも、同じ傾向があるように思われます。
心理学的に言えば、人間には大きく二つの無意識的な欲求があるとされています。一つは「帰属的な欲求」そしてもう一つは「分離的な欲求」です。
これは、大宇宙という生命の本質に戻りたいという欲求と、ひとりの人間という個人として、宇宙生命から分離したいという欲求と言い換えることができます。
そしてやはり、分離的な欲求を抑えて、帰属的な欲求を追求することが大切とする思想が多いように思われます。
しかし本当にそうなのでしょうか?
それでは私たちは、なぜこの世界に人間として生まれてきているのでしょうか?
世の中には多くの思想があります。そして何が正しくて、何が間違えであるかの結論を出すことが、私たち研究会の目的ではありません。
しかし、この大きなテーマをどう捉えるかによって、人間の生き方は180度変わってしまうと言っても過言ではないいう事実には目を向けて欲しいのです。
生命の個性研究会では、仮にこの二大欲求が人間に備わっていた場合、どちらも必要で、どちらからも離れるべきではないと考えます。人生のあるステージにおいて、帰属的な欲求が湧き起こり、宇宙や生命の本質を探求する経験は非常に大切なことと思います。しかし分離的な欲求を抑える必要はないとも考えます。なぜなら、これを抑えてしまったら、人間として生まれてきた目的からも離れてしまうからです。
私たちの生命は宇宙生命と同一であるという本質を「自覚」することで、この現実社会に生きている「個人」としての人生や価値をも追求し、自分にしかできない「使命」の道を歩んでいくことへの探求こそが大切なのだと思います。
自分自身の生命の個性を知ることは、その為の大切な手段になるのだと思います。そしてこれを学んでいくことこそが、生命の個性研究会の一番の目的であると考えています。